能力のある人が働ける地域の戦略として、多拠点化を考える
問題意識
会社を辞める前からやめた後まで色々な地方にいったり、たくさんの方とお話させていただく機会がありました。
その際に強く感じたのは、もっと地域社会に貢献したいと思っている人材がたくさんいて、地方でもそれを求めているのに実際にはそうなっていないというギャップがあることです。
この問題と解決について、僕がこの1ヶ月くらいでぼんやり考えていたことをまとめてみます。
問題の掘り下げ
具体的に起きていることはこういうことだと思います。
- 能力のある人に来てもらいたいが、能力に応じた報酬を支払えない
- 地域活動に貢献したいが、報酬レンジが凄く下がってしまうので踏み出せない
やはり一番のネックは報酬です。わざわざ能力のある人が自分の生活水準を落としてまで地方に来る理由は、通常はありません。
その結果、地方の問題解決に参画してくれる人は * すでに十分すぎる報酬を得ており、多少労力を地域貢献に割いても生活水準が変わらない人 * 都市部でも大した報酬をもらっていなかった人
という二極化が進んでしまいます。 前者の人は人数も多くないし、非常に多忙であることが多く現実の問題の解決には動けないことが多い印象があります。一方、後者の人は逆に、金食い虫にしかならないという現実があるようです。
つまり、ここで起きているのは「現場レベルで問題を発見し解決する能力のある知識労働者に、 十分に力を発揮してもらえるだけの報酬を支払えない」という問題であると捉えられます。
なぜギャップが生じてしまうのか
なぜ、では報酬を支払えないのか。
市場が小さく報酬を払うだけのリターンが望めない
どれだけ問題が重要で緊急性が高くても、そもそも市場のパイが小さい地方では大きなリターンが望めないという現実があります。
地域の報酬とあまりにかけ離れており、制度上難しい
また、仮にそのリターンが望める可能性があっても、自治体の制度上むずかしかったり、あまりに現地の報酬とかけ離れた結果批判的な目でみられることを考えると、なかなか報酬体系を高く設定できないという問題があります。
こんな要因が働いて、地方では高い報酬を設定できないという現実があります。
解決のアプローチ
この問題解決のアプローチとして、多拠点化を考えてみます。
多拠点化により、
- 複数拠点で実施することで市場のサイズを確保する
- 複数拠点で賄うことで、一つ一つの報酬は小さくてもあわせることでスケールさせる
ということができないかという試みです。
知識労働、プログラミングならどこでも出来る
ノマドワーカーという言葉が聞かれるようになって久しいですが、幸い僕らのような知識労働やプログラミングを生業とする業態は場所を関係なく作業ができます。
コンテンツ事業はスケールする
たとえば、ある人材育成プログラムがあったとして、それをスケールさせるのはそれほど難しくないと思います。地方の状況に応じてそれぞれにフィットさせるつなぎが必要だと思いますが、結構な部分を共有できる可能性があります。
実際気分転換代わりに他の仕事したら生産性があがったりする。
プログラマの人は共感してもらえると思いますが、あるタイミングで特定の業務へのモチベーションがさがるけど、仕事自体をやりたくないわけじゃなくて他の業務ならすげーやる気出して頑張れる、みたいなことってありますよね。そういう感じでモチベーションの波に合わせて業務を切り替えれば常に生産性の高い状態を保てるのではと考えています。
具体的方策
地域の連携を締結してく
- 同じような問題意識やフェーズの地域をつないで連携をとれる状態にする
雇用形態の見直し
- フルタイムではなく、PJT単位や年棒制を採用
通信技術の活用
- 各拠点にビデオ会議室を設置する
- Google DocsやHangoutを使って理解を進める
こうしたことを上手くやっていけば、多拠点化により「能力のある人に地方で活躍してもらう」未来が見えそうな、気配もします。
課題
とはいえ、いくつか課題も残ります。
信頼感
「地方のために働く」と言いながら、ほとんど自分の地域にはいないという人がいたとして、その人を信用するのはなかなかたやすいことではないと思います。
理論的な問題以外にこういう人間的な感情面の処理も考えていかないと行けません。
分割された時間で出せる成果のレベル
共通化できる部分が多くてもイコールにはならない状況を考えると、時間は絶対に個別の部分にも割かないと行けません。そうしたときに、本当に報酬を払うだけの成果のレベルに達するかという問題があります。
交通費
ノマド、とはいっても本当に現場で手を動かすのがゼロになるわけではありません。そのため、現地に移動することが何度かはかならず発生します。そのときに発生する交通費をまかなえるかという課題が残ります。
取り合い
これは本人の調整能力もある部分はあるでしょうが、地方それぞれで重要なPJTのタイミングが重なってしまうことも多いと思います。
エンジニアのプロトタイプとして真面目に挑戦してみる
僕は、僕の能力でこんなことができるのかはわかりませんが、この取り組み方に一度チャレンジしてみたいと思っています。もちろん地方の方々の理解と協力がかなり必要な部分はありますが、人柱としてやってみれるなら、それも面白いかなと思います。