右脳系エンジニアのブログ

エンジニアとしての生き方のプロトタイピング、新しい社会のプロトタイプづくりをしています。

新しいことをするために、積極的に東京以外を選択する理由

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※2014/03/16 大南さんの肩書きが誤っていたため修正いたしました。

近頃すっかり日本の地方の手先と化している気がします。私です。

3.11から3年たちました。当時は社会人として2年目だった私も、もう5年がたとうとしているという事ですね。

あのころは東京という中心地で経済に貢献することこそが復興への一番の近道だなんて意気込んでいて、今でもそれは間違いだとは思っていないですが、少しずつ考え方が変わりつつある気がします。

というのも、日本では急速に地方に移住する考え方のパラダイムチェンジが起きているように感じていて、自分もそこに飛び込もうと考えているからです。

具体的には、これまでの地方移住の考えが、都市への敗北の結果としての選択であったり、東京で培ったノウハウをまだ開拓されていない地方に持ち込もう的な考えであったり、社会から隔絶されてのんびりやろうみたいな考えに基づいていたものが、むしろもっとも豊かな暮らし、最先端の取り組み、社会を積極的につくりあげていこうという考えに変わってきているように感じる、ということです。

背景

一番の背景に通信のインフラとサービスが急速に整ってきたことが挙げられます。

今や、ある程度地方にいっても光回線は通っているし、携帯の電波は繋がるしLTEも入ります。

徳島にいたっては光ファイバー網普及率全国1位(人口1人当たり)です。

また、サービス側の方もTwitter, facebookはもちろん、Skype, Google HangoutなどのWeb RTCといったリアルタイムコミュニケーションをサポートする技術とサービスが整備されたこと、ITエンジニア界隈でいえばGithub, StackOverFlow, Qiitaなどの情報共有プラットフォームが普及してきています。

これにより、もちろんFace To Faceのコミュニケーションがなくなるわけではありませんが、逆にいうと実際にあって話さないと行けないこと以外はどこでもできるようになってきています。 極端な話、月に1回会って話せばいいだけなら地方で暮らしたほうが固定費は安いのです。

また、コミュニティに関しても上記にあげられたサービスによって着実にWeb化が進んでおり、「東京にいなければ新鮮な情報が手に入らない」という状況は徐々に少なくなってきています。

3.11という出来事はそれらが整ってきたところに、我々が地方に目を向けるためのスイッチを押したように感じています。具体的には災害時にtwitterの認知が一気に進んだこと、原発によって自分の健康や食べるものへの関心が高まったこと、災害時に集約型の社会構造はリスクが大きいこと、現状の政府や政治構造、マスメディアへの不信感とそれに頼らない方法を模索しようとなったことなどがその例だと思います。

その結果、この3年ほどで急速にこの変化が生まれているように感じます。

その中で、具体的に地方に価値を見出した人や企業が、少しずつではありますが地方に進出してきているのだと思います。

地方にいくことでどんな可能性があるのか

では、地方にいくことでどんな可能性があるのでしょうか。

いくつかおもいつくメリットを上げてみます。

優秀な人材を確保する手段として

ユニークな制度 | 新卒採用2014 | 株式会社 UNITED STYLE http://www.unitedstyle.co.jp/recruit/culture.html

たとえば、上記のUNITED STYLEなどは、働く人が豊かに生きることを目的に有機や無農薬・自然栽培野菜を使ってつくられた自然食を福利厚生として提供しています。

このような手段を達成するにあたって東京である理由はないし、東京以外のほうがむしろ達成しやすいといえるでしょう。

美味しいご飯を食べるのは、本来ならば産地に近いほうがいいに決まっています(実際はこうなっていないという問題もあるのですがそれはまた別の話)。

新しいビジネスチャンスとして

高齢化社会の都市モデル

南相馬で聞いた話は、震災をきっかけに当初2035年に到達するだろうと言われていた人工ピラミッドの構造になっているそうです。南相馬に行けば日本が20年後に到達する状態を先取りできます。

普及が容易い

人口が少ないということは、普及させることはそれほど難しくありません。

東京で300人の子供に教育を施しても大したインパクトはありませんが、 地方で300人の子供に教育を施すと、下手するとその地方すべての子供が対象です。

地方全域で革新的な取り組みをしているとなれば、社会の注目度も圧倒的に違います。

新しいプラットフォームやサービスの試験やそのインパクトを計測するのに、地方はうってつけです。

例を上げると、島根県海士町という離島では「島前高校魅力化プロジェクト」という計画を立て実行し、世間の注目を集めることに成功しています。その結果として着実にIターンしてくる若者を増やしています。

島前高校魅力化プロジェクト

新しい都市計画・地域政策として

東京のように、

「ビルをブッ建てとけえ!(建築業界の人ごめんなさい)、経済発展させとけぇ!」

というのではない都市計画や地域制作を実際にトライすることができるのも魅力です。

緩やかに衰退していく街をどう計画するか、あるいはどう維持可能にしていくか。

注目度の高い神山町町長理事長の大南さんは「創造的過疎」をキーワードにまちづくりを進めています。

大南信也さん|徳島県 神山町|「colocal コロカル」ローカルを学ぶ・暮らす・旅する

これはちょっとぶっ飛んでるかもしれませんが、原発を逆に観光地にしてしまえみたいなコンセプトもあったり。

福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2

福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2

あるいは、中国の荒廃した産業地域でこういうことをしたい、という構想もあるみたい。

電力自給率100%超! 消費するよりも多くの電力を発電する街 : ギズモード・ジャパン

固定費を下げる目的として

少なくとも今は、地方にいくことによって大きく固定費を下げられる可能性があります。 これも今は地方の価値といっていいでしょう。そのぶん他のことに投資できますから、先述した人材確保のための資金に使ったっていいんです。

今後、これが加速していくためには低リスクで地方に参画できる仕組みの整備が必要

おそらく、今後この動きは少しずつ加速していくし、個人的には加速すべきだと思っていますが、現状まだまだ課題もあります。

一番の問題として、地方で(地方の)仕事をするというのはややリスキーな選択に見えることは間違いないです。市場規模も小さく、将来この場所が維持されているのかもわからない状況に飛び込むというのは結構勇気のいる決断です。UターンならまだしもIターンだとなおさらでしょう。 (かくいう私も生まれも育ちも大阪ですのでIターンになるわけです。そのリスクヘッジの方法を今色々と検討して&していただいているところです。)

そうした問題に対処できる社会基盤として低リスクに参加できるしくみ、たとえばクラウドワークスやイノベーション東北で提供されるような形での協力を出来るようにしていくとか、東京にいつつ出来るだけのことはしたいと言っている人を受け入れる地方側の意識であったり、そういう人に地方から報酬を少しでも払えるような社会制度(雇用含む)づくりが求められるのでしょう。

そのあたりはまた今度書こうと思います。私も実現できていないですしね。