ハッカソンで非エンジニアとして参加して優勝した話 #codefornamie
先日、こちらのハッカソンに参加して浪江賞(事実上の最優秀賞)をいただくことが出来ました。
浪江町住民のタブレット活用を考えるハッカソン@福島 http://codeforjapan.doorkeeper.jp/events/11492
このハッカソンで目指したこと
このハッカソンで目指したのは本当に価値があると思ったアイデアを、住民の人にも価値があると思ってもらうことでした。
少しだけ個人的な事情を盛り込むと、その上でちゃんと自分の力を発揮し、最優秀賞に選ばれることでした。
過去2回の利用者=審査員型のハッカソンで失敗した経験
利用者=審査員になるハッカソンには、過去2回参加しましたがどちらも大ハズシしていました。
そのため、今回はもっと具体的な顧客をイメージしてそれを訴えかけようということを挑戦しようと思いました。
非エンジニアとして参加するという選択
過去のハッカソンを振り返ったときに、中途半端にサービス開発に関わった結果、顧客のえぐりだしやプレゼンテーションがおろそかになるということがあったと考えていました。 それが、いいところまでは行っても優勝にとどかないという状態から抜け出せない要因だと考え、今回は思い切って「非エンジニア」として参加することにしていました。
ハッカソンの中身について
今回私達が最終的に提案したものは「血縁」という、普段高齢者の方が日常的に計測している血圧を使って、話のきっかけづくりをしたり、もしものときのセーフティネットをつくっていこうというサービスでした。
※ 著作権を再確認した結果、プレゼンテーション時とは多少画像が異なるものがあります。
チーム分け
浪江のハッカソンは基本的にはこれまでのアイデアソンで出てきたアイデアベースでチームビルディングをして、それを開発していこうという形式でした。
僕達のチームは、ヘルスケアの文脈でカテゴライズされたテーマに集まったチームでした。
チームの中で大事にしたこと
僕達のチームがもっとも大事にしたことは
「浪江町の住民は高齢者が多く、大半の方がタブレットを使ってあたらしく何かをするというのは難しい」というユーザー想定でした。
そのため、タブレットを使うハッカソンにもかかわらず「いかにしてタブレットを使わずに価値を提供するか」ということでサービスの形態を模索していきました。
サービスの形態の最初のプロトタイプ
「血圧計で計測したデータが自動的に同期され、それが健康管理になる」というテーマでした。
ポイントは先程も言いましたが「タブレットを使わない」ということです。
そこから、これは僕が問題提起したものですが 「解決すべきは個人的な健康管理ではなくて、地域コミュニティで行われてきたお互いの状況確認や助け合いが失われてしまったこと」
をとりあげ、コミュニケーションがなんらかの形でおこなえるような形にしていこうという方向で最初のたたき台が出来てきました。
サービスの模索。そして霧の中へ
この形にしていった段階で、「血圧を確認しあえるだけでは定期的にタブレットを見るモチベーションにならないのでは」という問題提起がなされます。
それに対して、「そもそも話のきっかけとなるのに血圧である必要はないよね。血圧以外の事も話せたら頻度があがるよね」ということで、一旦血圧を離れた形が模索されていきます。
その結果、「写真をとる」という行為のみを覚えてもらい、それを中心としたコミュニケーションが行えるサービスのような(facebookの簡易版)ものが 昼時点では案となっていきました。
しかしこれはこれで、「あえてそれをする理由がない」というメンターの方からの指摘があったりとか、 地域のつながりの複雑さの表現が極めて難しいということで、見事に霧の中にダイブしていくことに。
原点に戻り、かつこれまでの議論を生かす
まぁものの見事に霧の中にダイブしていった結果、にっちもさっちもいかなくなったので一旦最初の形にもどってみようとなりました。
当初に問題になった「定期的に見るモチベーションにならない」という問題をどうするかと考えなおした時に、これまでの議論や調査が生かされていきます。
まずはユーザー像の細分化。私達が最初に想定していたのは「タブレットの操作が難しいと思っていて、あえて新しいことをやろうとは思えない」ようなユーザー像をメインに想定してサービスを考えていましたが、 霧の中でなんとかしようと地域コミュニティの構造を把握していく中で、「積極的に地域の人と話したいという気持ちがあり、定期的に家を訪問したりする」ユーザーがハブのような機能を果たしていたことをしったり、巡回員の方が回数が足りないまでも定期的に避難先を訪問しているという実態を知ることとなりました。
これを踏まえて、血圧計測を中心として設計において
- タブレットでは基本的にはなにもしないユーザー(おおくの高齢者)
- 知り合いの人の状況を積極的に確認してくれるユーザー(地域のハブになっていた人、巡回員)
を想定して運用していくことで上手くまわっていくのではないかということで、最終的なデザインが固まっていきました。
役割分担と準備へ
役割をモック開発3名と、プレゼン作成2名で分担して作業をすすめていきました。
私は今回はプレゼン作成者としてガッツリ入り込み、シナリオと資料を作りこんでいきました。
その結果、先に埋め込んでいるようなスライドができあがり、発表した結果浪江賞をいただけることとなりました。
ハッカソンだけではなく、何かするのに必要だと改めておもったこと。
ユーザーを知ること
やはりユーザーを知ることが最も大事でした。ふと煮詰まった時は、ユーザーが明確になっているか、普段どんなことをしているかが明確になっているか、周辺にどんな人がいるかということを見なおして見るといいと思いました。
捨てる勇気と、ムダにならないと信じること
自分たちのやってきたことを捨てる勇気についてはよく言及されますが、捨てたものもムダにならないと信じることも同様に重要だと思います。
もし自分たちが議論してきた数時間を捨てた時に、これを本当に捨ててしまったら気持ちも落ちてしまうけれど、先につながるはずと思ってくことで気持ちが落ちずにすむし、本当に役に立つことが多い。経験上ムダかと思われた議論は8割がたなんらかの形で役に立ちます。
人生全般にもいえることだと思っています。そういう意味でスティーブ・ジョブズのこの発言をしたくだりを気に入っています。
先を見通して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない。だから将来何らかの形で点がつながると信じなければならない スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学での卒業式スピーチ
できることに集中する、分担する。
今回は上手くチームで仕事が上手く分担し、それぞれの作業に集中出来たことが最終的な結果につながっただろうと思います。
特に自分自身が「プレゼンテーションに集中する」ということを念頭において進められたことは大きかったかなと。
まとめ
なんにせよ、プロセスに結果が伴ってきたのはすごく良い経験になりました。
テーマとしては、浪江町の抱える問題はこれからの日本が抱えるであろう問題である可能性も高いです。この問題に向き合ってみたことも良い経験になったと思います。
今週末は東京で開催されますので、よければ参加してみてばいかがでしょうか!